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EXAMとは?

序文

 U.C.0079年。一人の優秀な科学者が狂気に取り込まれた。
その科学者は、“EXAM”という名の悲しみに満ちたシステムを生み出した。
このシステムは数多くの人を苦しめ、不幸に陥れた。
・・・だが、これだけは忘れないでほしい。
この装置の元々の目的は、我々人類を守りたいという純粋な願いによって 生み出されたということを・・・。

 

EXAMシステム概要

 EXAM(エグザム)システムとは、簡単に言えばニュータイプの動きをコンピュータによってデジタル化し、
これをOSとしてMSに組み込むことにより、 オールドタイプもニュータイプと同等の動きをすることが可能になるシステムである。
これが単なるMS用のOSであれば、全く問題なくジオン、連邦の両軍へと広まったであろう。
しかし、このシステムには一つの重大な欠点があった。
それは、“暴走”である。
EXAMシステムを組み込まれたMSは、これを発動することにより、 先に述べたニュータイプ的動作を行うことで、驚異的な戦果を上げる。
しかし、これは時として“暴走”する。
“暴走”とは、パイロットの意志(またはその存在)とは関わりなく、
システムが感知した敵機(MSとは限らず、人間の存在も含まれる)を完膚なきまでに粉砕するまで、その活動を続けることである。
(“暴走”状態にあるときはパイロットがコックピットにいなくとも機体は活動を続ける。)
もしくは、システムが作動していても、それより先にMSが戦闘不能に陥ることもある。
このいずれかの条件を満たすまで、MSは暴れ続け破壊の限りを尽くすのである。
これが“暴走”と表現される所以である。

 

EXAMシステム完成までの経緯

 そもそも、このEXAMシステムはなぜ生み出されたのか。
それはこれを生み出した張本人、クルスト・モーゼス博士の理論を知る必要がある。
博士は自身の著書'Do Human Evolve Into “EXAM”' 『人類は“EXAM”となり得るか?』にて、以下のように述べている。

「我々旧人類は、ニュータイプと呼ばれる存在に滅ぼされるときが必ず来る。
 その来たるべき戦いに備え、私はEXAMを用意しておかなければならないのだ。」

博士はニュータイプをジオン・ズム・ダイクンの提唱した「人類の新たな進化形態」として 見るのではなく、
全く異物の存在、しかも自分たち旧人類に仇為す存在として捉えたらしい。
このため、博士はニュータイプに恐怖を抱いていた。
だが、博士はフラナガン機関に所属する科学者だけあり、 ニュータイプの持つ戦闘能力の高さには早くから着目していた。
だからこそ、ニュータイプを危険な存在と見なし、恐れを抱いたのにも頷ける。
今のままでは、自分たち旧人類は滅び行く存在であると考えた博士は、
旧人類を守るためにニュータイプの戦闘能力の高さを逆に利用する方法を思いついた。
それが“EXAM”システムなのである。
ニュータイプの戦闘行動(物理的、精神的な動き)を“EXAM”によって取り込み、
旧人類がニュータイプと同等に戦えることを目指したのである。
その経緯は、この考察とは別に『EXAMシステムに関する考察(極秘)にて補うことにする。

 

EXAMのベースとなったニュータイプ

 EXAMシステムの完成にはニュータイプそのものを研究することが必要不可欠であった。
つまり、博士はニュータイプに恐怖心を抱いていながらも、 ニュータイプと直に接してみることが必要だったのである。
このシステムのベースになったニュータイプとは、まだ14歳といううら若き乙女、 その名をマリオン・ウェルチと言った。
博士はマリオンのニュータイプ能力をEXAMシステムに取り込もうと研究に没頭する。
だが当初の彼は、彼女マリオンに対しては父親的存在として接していたことから、彼女に対して恐怖心を抱いていなかったことがわかる。
これは、マリオンが14歳という少女であったことにも関係があると考えられる。
ニュータイプと言えども、まだまだ子供である。
そんな考えが博士の心に余裕を生んだと思われる。
マリオンと接することで、博士の人間的な部分が刺激されたのだろう。
特に父親というものは男の子供と比べ、女の子供に対してより深い愛情を抱く傾向がある。
博士にとって、マリオンとの生活が悪くはないものだったのではないか。
だが、そんな感情もニュータイプの戦闘能力の高さを改めて実感することで崩れていった。
EXAMシステムの研究の際、シミュレータを通して マリオンにMSとの戦闘をゲームと称してやらせていたのであるが、
その成績が異常なほど、博士の目前で日に日に高まってゆくのである。
これが実戦だとしたら・・・、そう考えた博士は、マリオンに対しても強い恐怖、 そして嫌悪、憎悪を感じるようになるのである。
愛情の裏返しによる憎悪は果てしなく大きいものとなる。
これはいつの時代も同じことであるのだが、マリオンはただ良い成績を修めて博士を喜ばせたい一心だったのである。
彼女が良い成績を修めれば、博士の研究の役に立てる。
そしてそれはこの戦争の早期終結につながり、世界は平和になる。
いかにも思春期の少女らしい彼女なりの答えであったのだ。
しかし、現実は彼女が良い成績を修めれば修めるほど、博士のマリオンに対する恐怖心は増していったのである。
それをニュータイプであるが故に敏感に察知したマリオンは、EXAMシステムの中に自らの精神を封印してしまうのである。
こうして、EXAMシステムは完成に至ったのである。

 

仕組まれた“暴走”

 マリオンが意識を失うと同時に、EXAMシステムは正常に作動するようになった。
マリオンが意識を失う前までは、システムは正常に作動することはなかった。
これは、間違った理論で組み立てられたシステムが正しく動作しないように、
博士の根底にあるEXAM理論が間違っていたためと考えられる。
しかし、この事故をきっかけとして、EXAMシステムは皮肉にも完成してしまった。
私は前述した中に重大な欠点を持つと書いた。
だが、クルスト博士にとってのEXAMシステムとは、これで完成していたのだ。
つまりEXAMシステムの“暴走”は、当初から博士によって仕組まれていた可能性が強い。
なぜなら、EXAMシステムとはニュータイプと同等以上に戦う装置でなければならないからだ。
オールドタイプとニュータイプが一対一で戦った場合、 その戦闘能力には限りなく大きな差がある。
これを補うのがEXAMシステムなのだが、 システムの動きにオールドタイプのパイロットが追従できない可能性も十分に考えられる。
そして、その結果パイロットの生命が危険に晒されることもありうるのだ。
ニュータイプと交戦中に、パイロットが死亡したためにMSが機能を停止しては、ニュータイプを倒すことはできないのである。
そこで博士は一計を案じた。
例えパイロットが死亡しても、せめて相討ちへともつれ込むようMSを強制的に作動させようとしたのである。
これが博士の意図した“暴走”である。
だが、博士の意図しなかった正真正銘の“暴走”がEXAMには組み込まれていた。
EXAMシステムが停止状態にあるにも関わらず、 ある条件を満たした場合に、EXAMが突然起動する現象が起こったのである。
その条件とは、“数多くの人々が同時に死ぬこと”である。
これは博士にとって予想外のことであった。
では、なぜ博士の意図しなかった“暴走”が起こってしまったのか。
それはEXAMシステムへと心を封印したマリオンに原因がある。
EXAMシステムはマリオンの精神を取り込んだことによって、
その機能を限りなく高めたが、それと引き換えにニュータイプの持つ、 独特の精神的な敏感さをも取り込んでしまったのである。
これが人々の死を感知し、結果EXAMが起動してしまったと考えられる。

 

クルスト博士の亡命

 EXAMシステムに以上のような欠点がありながらも、
博士は“戦闘に支障なし”として“暴走”を敢えてそのままにしておいた。
だが、博士の研究は意外なところで3度目の行き詰まりをみせる。
(1度目、2度目は『EXAMシステムに関する考察(極秘)』を参照のこと。)
それは、EXAMシステムの限界まで稼動できるMSがジオンには存在しなかったのである。
EXAMを発動させた場合、ジオンのMSでは5分ともたなかった。
博士はジオンにおけるEXAMの研究に見切りをつける。
(元々、博士はジオンでは冷遇されていたので、未練も特にはなかったのであろう。)
そして、博士は連邦にそのEXAMの真価を発揮し得るMSを求め、亡命するのである。

 

リミッターの存在

 連邦はクルスト博士の亡命を受け入れた。
しかも、当時貴重であったRX-79(G) 先行試作量産型ガンダムを3機も融通してみせたのである。
当時の連邦軍上層部が如何にこのEXAMに期待していたかがわかる。
(さらには、この連邦軍側のEXAMの研究には当時の最高司令官、レビル将軍が絡んでいる。)
このため、クルスト博士はMSに関しては申し分ない環境を与えられたことになる。
しかし博士の予想しなかったことは、連邦はニュータイプ研究がジオンよりも遥かに遅れていたことである。
博士はこれに対し、「連邦はジオンの5年は遅れている」と嘆いたという。
連邦に亡命したことで、EXAMのさらなる発展に必要なMSは確保できた。
しかし、さらなるニュータイプの行動パターンをEXAMに取り込むには やはりニュータイプ自身を研究するしかない。
博士はニュータイプと思われる子供たちを集めるところから始めなければならなかった。
このとき、EXAMの基礎理論は完成していたが、発展させるにはさらなる研究が必要だった。
というのも、EXAMはOSとしては完成をみたが、それでも博士の納得のいくものではなかったのである。
博士はニュータイプと同等以上の戦いをEXAMに望んだ。
そのためには、EXAMの発動時間(MSの戦闘可能時間)をさらに伸ばす必要があった。
連邦のMSが優秀とはいえ、やはりEXAMの限界までには耐えられなかった。
やはり5分強の段階で機体はオーバーヒートを起こし、使い物にならなくなった。
クルスト博士はこの問題に対し、さらなる高性能なMSを使用することを望んだが、 現実問題としてそれは無理だった。
だが、ここで全く別方向から解決を試みた人物がいる。
彼の名はアルフ・カムラ
連邦の技術士官で、RGM-79(G) 先行試作量産型ジムの開発にも携わった男である。
その彼が考えたのは、機体のオーバーヒート直前で、 EXAMシステムとMSの機能を切り離してしまうというものだった。
つまり、EXAMシステムとMSの間に“リミッター”を設けるというのである。
こうすれば機体は生き残り、EXAMシステムのデータ収集も可能になる。
だが、これには前提となる絶対条件が存在する。
それはEXAMシステム発動から“5分以内で敵機を殲滅すること”である。
5分以内で敵機を殲滅できなかった場合、例え機体が生き残っても、機体はその全機能を停止する。
MSほどの巨体が機能を停止するということは、明らかに敵の的になるということを意味する。
これを友軍とともに行動することによって避ける手もあるのではないか?と考えるかもしれないが
EXAMシステム発動中は敵味方の区別がつかないという事態が生じる。
これは、EXAMシステム発動中は“敵意”目掛けて攻撃するというシステムの特性による。
例え自機にとって味方であろうと、敵機との交戦中であれば、 味方機は敵機に対して敵意を抱く。
これをEXAMは敏感に感知してしまい、味方すらもターゲットにしかねないのである。
このため、EXAMシステムにリミッターを設けることは 機体を守ることになる反面、機体を危険に晒す可能性も秘めており、
この矛盾を解決する条件が先に述べた“5分以内に敵機を殲滅すること”なのである。

 

EXAMのパイロット

 EXAMシステムを搭載したMSのパイロットは両軍に複数いたことがわかっている。
まず、ジオンについてはマリオン自身の脳波をEXAMシステムに取り込むため、彼女自身が実際にシステムに携わっている。
ある程度、マリオンの脳波をEXAMシステムで表現できるようになった段階で、
ジオンはEXAMシステム実験用MSのパイロットとしてニムバス・シュターゼンを選抜する。
彼が選ばれた経緯は色々と複雑であるのだが、ここでは敢えて私が語るまでもないだろう。
ニムバスはEXAM搭載MSの専属パイロットとしてその任務を果たした。
彼自身、極めて優秀なパイロットであったため、そのMSの戦果は多大である。
しかし、博士の研究の性質上、隠密的な任務が多く、 一般にはあまりその活躍が知られていない。
だが一部の若い士官の間では、彼に対して熱狂的な支持を得ている。
連邦側は博士の亡命後、即製造されたMS、RX-79BD-1(通称ブルー1号機)に専属のテストパイロットが存在した。 (名称は不明)
だが、ブルー1号機の実験中、突如として機体が“暴走”。
(これは近辺で大規模な軍事行動があったためと解釈されている。)
そして付近で戦闘中であった友軍、第11独立機械化混成部隊へと攻撃を始めてしまう。
アルフはこれをデータ収集のいい機会と捉えていたようであるが、 この戦闘でブルー1号機は予想外にダメージを受けて帰還する。
その際、ブルー1号機はコックピットに直撃を受けており、 そのテストパイロットは帰らぬ人となった。
ブルー1号機修復後、アルフはここまでブルーを痛めつけた張本人を探し出す。
これはジャブロー直属というお墨付きがあるため、あっさりと見つかる。
そのパイロットの名はユウ・カジマ
例の第11独立機械化混成部隊に所属するベテランパイロットである。
アルフは彼をブルー1号機のパイロットとして選ぶ。
(彼は後のブルー3号機のパイロットをも務めることになる。)
そしてもう一人。
これは戦闘行動中の混乱の中で起こったので厳密には違うのだが、 EXAMに関わったパイロットということで併記しておく。
そのもう一人のパイロットとは同じく第11独立機械化混成部隊所属のパク准尉である。
彼はブルー1号機を駆るユウ・カジマの活躍を見て触発され、 ブルーシリーズに対して大きな期待を抱くことになる。
そしてブルー1号機とジオンのEXAM搭載MS、イフリート改が交戦中、
ユウ・カジマを援護するという名目で勝手にブルー2号機を起動させてしまう。
しかし、起動と同時にEXAMシステムが発動。
EXAMシステムについて、全く予備知識のなかった彼はひどく混乱し、 その混乱に乗じて接近してきたニムバスによって射殺されてしまう。

 

EXAMがパイロットに及ぼす影響

 EXAMシステムはパイロットに相当の負荷を強いる。
これはEXAMがニュータイプの動きを再現するために、 膨大な情報量をパイロットの頭脳に送りつけることによって生じる。
ニュータイプとは、“宇宙に進出することによって、
今まで使っていなかった脳細胞を活発化させることができるようになった人類”とも解釈できる。
ニュータイプが頭脳で処理する情報量は旧人類に比べ、単純に見積もって少なくとも2倍以上であると考えられる。
ということは、パイロットは普段頭脳で処理する2倍以上の情報を、 EXAMによって頭脳に送り込まれるのである。
アルフが言うには“5分というのはパイロットが正常でいられる限界”でもある。
つまり、現時点でパイロットが自我を保っていられる時間と、 EXAM発動中のMSの限界稼働時間は同じなのである。
アルフの設けたリミッターは、パイロットの精神も守る役割を果たしていたことになる。
だが、そうなるとクルスト博士が考える真のEXAMシステムの完成はほど遠いことになる。
パイロットが搭乗した状態で5分しか、パイロット、機体共にもたないのである。
仮に5分以上EXAMシステムを稼動できるMSを作ったとしても、パイロットには限界がある。
クルスト博士は、パイロットすらも強化改造を施すつもりであったのだろうか?
いや、もしくはパイロットは捨て駒でしかなかったのであろうか?
これは博士以外の何者にも知ることのできない、EXAMの闇である。

 

EXAMの闘い

 このEXAMシステムは本来ならば対ニュータイプ用のOSとして開発されたものだった。
だが、クルスト博士が連邦に亡命したことによって、EXAMシステム同士の闘いという予想外の事態が生じた。
博士がまだジオンに所属していた頃、EXAMシステムを搭載したMSは1機。
MS-08TX[EXAM] イフリート改である。
この機体によって博士は当初EXAMシステムの実験を行っていたのだが、
博士は亡命の際に、なぜかこのMSをジオンに残してきている。
本来ならば研究の秘匿のために破壊するのが常識である。
では、なぜ破壊しなかったのか?
これはできなかったと考える方が正しい。
イフリート改のパイロットであるニムバスは、自らを誇り高きジオンの騎士と自負しており、
決して博士らと共に亡命するような人物ではなかったのである。
つまり、博士らはニムバスに対して亡命を悟られてはまずかったのである。
ニムバスの目を盗んでイフリート改を破壊するのは困難である。
そこで、博士らは4台あったEXAMシステムの内、最新型の3台を持ち出し、
そして当のニムバスには極秘任務と称して、イフリート改で出撃させた可能性が高い。
こうしてニムバスの目を盗み、博士らは連邦への亡命に成功した。
これをきっかけとして、ジオン内部にてEXAMに対する研究は打ち切り。
連邦に渡ったEXAMのデータを回収し、博士を抹殺するようニムバスに任務が下る。
これは後始末以外の何者でもない。
ニムバスにとって、これほど屈辱的なことはなかったはずである。
このことからクルスト博士はニムバスにとって、誇り高きジオンの憎むべき裏切り者となった。
ニムバスは以降、クルスト博士及び連邦のEXAM搭載MSを執拗に追いかけることになる。
こうして、EXAM同士の闘いの幕は上がった。
第一ラウンドはニムバスの一方的な攻撃で始まる。
ミデアにてブルー1号機を輸送中との情報を得た彼は、 ミデアごとブルー1号機を破壊しようとしたのである。
ミデアの撃墜には成功したものの、肝心の機体の破壊は失敗。
追撃をかけようとしたところに連邦のMS部隊が出現。
この際、3機のジムの見事な連携プレイによって、 ニムバスは戦闘想定時刻を大幅にオーバーし、やむなく撤退に追い込まれている。
このジムの部隊とは何の因果か、第11独立機械化混成部隊のジムだったのである。
第二ラウンドは12月15日に行われた連邦軍のキャリフォルニアベース攻略作戦の際に行われた。
ブルー1号機を駆るユウ・カジマとイフリート改を駆るニムバス・シュターゼンの一騎打ちである。
このとき、連邦のMSの方がジオンのMSの機体性能を上回っており、 辛くもユウのブルー1号機が勝利を収める。
しかし、ニムバスにも意地があった。
機体の爆発の直前、ユウの不意をつきブルー1号機の頭部の破壊に成功。
ブルー1号機のEXAMシステムは頭部に搭載されていたため、 ニムバス、ユウ、共にEXAMシステムを破壊される結果となった。
この時点で残されたEXAMシステムは2台。
これはブルー2号機及び3号機にそれぞれ搭載されていた。
EXAMを搭載したMSを失ったニムバスは、 諜報部が連邦のEXAM研究施設を発見したとの報告を受け、ジオン特殊部隊を率いて襲撃。
ブルー2号機の奪取に成功する。
その際、クルスト博士はニムバス自身の手によって殺害された。
このときブルー3号機は未だに組み上がっておらず、 ニムバスはこのブルー2号機が最後のEXAM搭載MSであると判断したらしい。
EXAMシステムの回収に成功した(と考えた)ニムバスは、これを宇宙へと持ち帰る。
だが、追撃してくる部隊の中にEXAM搭載MSを確認。
これを破壊するため、ニムバスは追撃してくるユウを待ち受ける。
こうして第三ラウンド、いやEXAMの闘いにおける最終ラウンドが始まった。
最後の闘いはまさしく死闘であった。
互いの機体は激しく損傷し、EXAMのタイムリミットは刻々と近づく。
勝負を決めたのは一瞬だった。
ユウの放ったビームの光跡が、ニムバスの機体をわずかにかすった。
だが、そのわずかな損傷が致命傷となった。
それを知ったニムバスはブルー2号機を3号機に取り付かせ、自爆する。
これによって全てのEXAMは破壊された。
こうして、EXAM搭載機同士の闘いは幕を閉じた。
同時に、この世界からEXAMという名のシステムは永久に失われることとなった・・・。

 

EXAMが失われてその後

 EXAMシステムが全て破壊された直後、意識不明に陥っていたマリオンは意識を取り戻した。
マリオンの精神を封印したEXAMシステムが全て破壊されたことにより、 彼女の精神が還るべきところへ還ったということであろう。
ジオン側のEXAMの研究施設は連邦によって全て破壊された。
また、連邦内部においてもEXAMに関する項目は極秘事項とされた。
結局、EXAMという名のシステムは歴史の闇へと葬られたのである。
EXAMシステムは消え去った。
だが、それに携わった人物は残っている。
クルスト博士本人は死亡してしまったが、その助手を務めていた人物たちは生き残っている。
その代表と言えるのがアルフやローレンである。
まず、アルフはニュータイプに関わる研究所に勤務することになった。
これはニタ研ことニュータイプ研究所のことである。
1年戦争においてニュータイプの驚異的な戦闘能力の高さを 連邦自身も身をもって知ることとなったのだが、
連邦内のニュータイプに関わる研究は ジオンと比べて遥かに遅れていた。
だからこそ、何らかの形でニュータイプ研究に携わっていた人材を、 連邦は心底欲していたのである。
アルフやローレンはまさにうってつけの人材だったと言える。
ニュータイプ研究所の中にオーガスタ研究所がある。
ここにローレン・ナカモトという人物がおり、人工的なニュータイプを生み出す研究を行っている。
この人工的なニュータイプとは強化人間と呼称される。
彼が研究対象としていたのは、ロザミィことロザミア・バダムなのであるが、
クルスト博士の研究していた子供の中に、ロザミィという少女がおり、 博士の助手にローレンという名の人物がいた。
これは果たして偶然の一致と呼ぶべきなのだろうか?
ニュータイプ研究という限られた研究分野、 ニュータイプという限られた人材、
これが一致したということは、同一人物である可能性が非常に高い。
以上のように、EXAMが失われてその後も、ニュータイプに対する研究は続けられた。
“ニュータイプの動きを表現するOS”という研究こそなくなったものの、
“オールドタイプを人工的にニュータイプにする”研究が新たに生じる。
つまり、MSをニュータイプ化するのではなく、 パイロットを直接ニュータイプにしてしまおうと言うのである。
これまでのEXAMの経緯を知った人物ならば、 EXAMの問題点を熟知しており、研究の方向性をこのように変えたのだろう。
戦後の連邦内のニュータイプ研究は、 実はEXAMによって支えられていたと言っても過言ではないのかもしれない。

 

最後に

 これまでEXAMシステムの何たるかを連ねてきたわけであるが、
以上の記述だけでも、如何にEXAMが哀しみに満ちたシステムであったか おわかりいただけたことと思う。
これまでの記述は、確かに存在したことなのである。
記録は抹消、もしくは隠蔽されたとしても、 このシステムに秘められた哀しみ、闘いを、決して忘れてはならないのである。
こうした想いを込めて、私はこのレポートを公開することにした。
つい最近知り合ったジャーナリストに、ジェシカ・ドーウェンという女性がいる。
彼女もまた、EXAMについて調査しているようだったが、 その成果はあまり芳しくないらしい。
EXAMに関する項目がシークレット事項に指定されているため、 一般人が調べるのは至難の業である。
それでも、私が彼女に見せてもらった資料では、 どこから調べてきたのか、かなりの深さまで掘り下げていた。
私は連邦軍諜報員とMSパイロットを兼任している。
このようなことはけっこうあるものである。
現に1年戦争時のオーストラリアにおいて、 とある特別項目に関する調査で、私の知り合いの諜報員がMSパイロットとして派遣された。
私は諜報員という立場にあるため、こうした調査はある程度自由が効く。
もっとも、このようなレポートを提出、及び公開した時点で 私の立場は一気に劣勢に立たされることは目に見えている。
以前、“EXAMシステムに関する考察”を発表した際にも、私は上官からこっぴどく叱られた。
(減給3ヶ月という、薄給の私には鬼のような処分であった。)
ただ、そのレポートに興味を示した別の上官がいたらしく、そのときはこの程度の処分で済んだ。
そのレポートはどうなったかというと、極秘扱いされニュータイプ研究所へと送られた。
その後、私のレポートがどうなったのかはわからない。
もっとも、そのレポートのコピーを私はちゃっかり手元に残してはいるのだが。
今回ばかりは、決して許されない行為を私はしようとしている。
下手すれば懲戒免職という可能性もある。
1年戦争を戦い抜いた私としては、これによって退職金をもらえないのは非常に心苦しい。
だが、それでも私はこれを一般に公開しなければならないのである。
なぜなら、もう二度とこのような悲劇を繰り返してはならないからである。
そして、決して忘れてはならないからである。
人と人はわかり合える。
例え、それが旧人類と新人類の間であったとしても。
もし、クルスト博士がこのような結論に至っていたならば、 今ごろはマリオンの父親として、平和な日々を送っていたことであろう。
それを、一人でも多くの人々に、私は知っておいてもらいたいのだ。
そのために、私は礎となろう。
これから訪れるであろう、ニュータイプとオールドタイプの真の共存の日々のために・・・。

U.C.0086年6月24日

地球連邦軍諜報部所属 ミヅキ中尉

 

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