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EXAMシステムに関する考察(極秘)

 

 クルスト・モーゼス博士がEXAMシステムを完成させるまでには、様々な紆余曲折があったことは容易に想像できる。
EXAMシステム開発計画開始から、被験者マリオン・ウェルチの意識不明によるEXAMシステム完成にいたるまで、
様々な試行錯誤が続いたとのことである。
その中でも、今回はEXAMシステムの初期段階から完成に至るまでの経緯を考察してみることにする。

 

 まずクルスト博士がEXAMシステムという理論を考えるに至った理由を簡単にまとめておこう。
博士曰く、
「我々が生き残るためには、ニュータイプを殲滅する必要がある」、
「ニュータイプの突出した戦闘能力は、将来、我々、旧人類に向けられるだろう。
 そのときになってから手を打ったのでは遅い。だから、わしはEXAMを用意しておくのだ。来るべき戦いのためにな。」
この言葉から、博士はニュータイプに対して脅威を抱いていたことがわかる。
フラナガン機関に勤める他の研究者たちはニュータイプを脅威、
もしくは人類の新たな進化形態として捉えていたわけではなく、戦闘能力に優れた兵士として見ていた感が強い。
そのため、彼らのニュータイプ研究はその能力を如何に活かすか、ということに焦点が当てられていた。
(例えばサイコミュシステムはそのもっともわかりやすい一例であろう)
一方、クルスト博士のニュータイプ研究とは、自分たち旧人類をニュータイプから守るための研究であり、
他の研究者のようなニュータイプを戦力を見なす研究とは色合いが全く違うものであった。
(ニュータイプの戦闘能力を扱った研究という意味では共通しているが。)
このことから、クルスト博士の研究がフラナガン機関において異端視されていたことも頷ける。

 

 上記のような状態のため、研究費用もあまり確保できず、 研究はもっぱらシミュレーションが中心となったと推測できる。
機体がなくとも、計算上の機体のデータがあればMSの実験というものは成立する。
(例えばRX-78NT-1 アレックスはシミュレーションによる実験が繰り返されていたが、 機体そのものは完成していなかった。)
クルスト博士はサイド5内に存在する廃棄コロニーにてEXAMシステムの開発をしていたのだが、
(このあたりで既にクルスト博士が冷遇されているのがわかる。
  他の研究者たちは本国や月、サイド6にて快適な研究ライフを送っていたのである。)
当時はまだMS-08TX[EXAM] イフリート改は組み上がっておらず、シミュレーター内でジオンのMSと戦闘を繰り返し、
数値の上で完成に近づけていったと思われる。
(連邦のMSデータはまだまだ少なく、むしろ自軍MSの数値の方が正確に表現できるため。)

 

 ここまでが、マリオンを除いたEXAMシステムの研究だろう。
ここまでは研究も順調に進んだと考えられる。
なぜなら、この時点で博士たちがやっていることはニュータイプを擬似的にOSとして表現する実験ではなく、
ニュータイプを倒すための、さらなる優れたMS用のソフトウェアの研究に他ならないからだ。

 

 しかし、研究は一度ここで行き詰まる。
いくら高性能のOSを作ったところで、それは所詮オールドタイプの動きを具現化したものにしか過ぎない。
博士はニュータイプそのものを研究する必要性を感じ始める。
そこで、博士はフラナガン機関に保護されている一人の少女に目をつける。
彼女の名はマリオン・ウェルチ。
博士は彼女に対して不器用ながら父親的存在として接し、彼女にEXAMシステムの研究につき合わせていた。
このときの研究とは、ニュータイプの戦場での動き(物理的、精神的なもの)をコンピュータによってデジタル化し、
一般人も扱えるようにしようというものである。
ここに至り、現在のEXAMシステムの原型が出来上がったわけである。

 

 では、マリオンはどのようにEXAMシステムをコントロールしていたのか。
これは私が独自に入手したEXAMに関連する資料を見ると、パイロットは頭部に大掛かりなメットを装着しており、
また、そのメットからは幾重にもケーブルが引かれている。
このケーブルはマリオンが機体に搭乗した際には、マリオンの脳波をEXAMシステムへ送る役割を果たし、
彼女以外のパイロット(オールドタイプ)が機体に搭乗した場合には、今までシステムに記録した彼女の脳波を、
直接パイロットに送り込む役割を果たしていたと考えられる。
サイコミュシステムなどが存在するにも関わらず、なぜ有線にする必要があるのか、という解答はここにある。
サイコミュはニュータイプが持つ独特の脳波を受信するための装置であるので、 オールドタイプには全く無意味な代物である。
そもそもEXAMシステムはオールドタイプが扱うために研究しているので、
サイコミュを使用してしまっては、本末転倒な事態に陥ってしまうからである。

 

 こうしてマリオンの脳波をデジタル化し、EXAMシステムを完成へと近づけていったわけであるが、
あるときこの研究は再び行き詰まりを見せる。
マリオンの表層心理上のデータはコピーできたとしても、 その内面がコンピュータでは表現できなかったと考えられるからだ。
これを乗り越えるために博士は研究を繰り返すが、直に博士はマリオンに対しても脅威を感じるようになる。
EXAMシステムの開発は進展を見せないにも関わらず、マリオンの戦闘能力のデータは日に日に向上してゆく。
このままでは、我々はいつの日にかニュータイプに滅ぼされるのではないかという悪夢が再び頭を駆け巡る。
そんな想いを、マリオンはニュータイプであるが故に、敏感に察知する。
自分に対して博士が抱く憎悪、そして恐怖・・・。
これらに耐えられなくなったマリオンはEXAMシステムの中に心を閉ざした。
皮肉なことに、これによってEXAMシステムはマリオンの内面心理までも表現することが可能になり、 完成に至った。
しかし、このシステムはニュータイプ独特の敏感な部分をも取り込んでしまい、後々に弊害が起こるようになる。
これが“暴走”である。

 

 以上がEXAMシステムに関する考察であるが、EXAMシステム自体が歴史の闇へと葬られており、
これ以上の追求はほぼ不可能な状態にある。
しかしながら、私自身EXAMに関しての調査は納得しておらず、今後も調査を続行するつもりである。

 

 また、EXAMシステムに関する事柄はシークレット事項に指定されているため、
このレポートも限られた人物のみが閲覧できる極秘扱いとする。

 

※上記2行は後に他者によって書き加えられたものであることが著者本人の証言により判明している。

 

U.C.0086年4月14日

ミヅキ中尉

 

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