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ホワイト・ディンゴ隊のその後は?

 

 地球連邦軍の1年戦争におけるオーストラリア反攻作戦において、 重大な役割を果たした特殊遊撃MS部隊が存在する。
その部隊の名は『ホワイト・ディンゴ』。
彼らはMS3機にホバートラック1両という編成で、数々の任務を達成した。
アリススプリングスの無血開城、ジオン特殊部隊による強襲からのトリントン基地防衛、
生物環境兵器アスタロスの破壊、ジオン軍オーストラリア方面軍最後の砦、ヒューエンデンHLV基地攻略。
彼らの戦績を挙げただけで、これほどにまで上る。
この他、小競り合い程度の小さな戦績まで拾っていったとすれば、さらに多く挙げることができるだろう。
しかも、特筆すべきはこれらの任務を、オーストラリアにおいて連邦の反抗作戦が始まった
U.C.0079年11月22日以降から終戦まで、つまりは1ヶ月強の時間で成し遂げてしまったということである。
戦後、連邦軍内、民間放送機関を問わずこの部隊が有名になったのは言うまでもない。
しかし、私がこれを記している時点において、彼らの名前は全くと言っていいほど聞かなくなってしまった。
ジオン独立戦争と呼ばれるジオン公国、もしくはジオンの血を受け継ぐ者による闘いが終結して早数年。
私自身、これらの闘いをなんとかくぐり抜けたのだが、
彼らほどの部隊が、1年戦争以後の戦いにおいて名を残していないことが、個人的に気になっている。
私が軍を退役してからというもの、一端のジャーナリストを気取っている手前、
気になるところはつついてみねば気が済まぬのが私の性分なのである。
その生来の性格が私を士官学校へと進学させ、数々の戦いを諜報員として過ごさせたこともあった。
元諜報員として、そして一ジャーナリストとして、 オーストラリアにおける英雄とも呼ばれる彼らを追ってみることにする。

 

 調査を始めるに当たって、私は『昔取った杵柄』を利用することにした。
たとえ袂を分かったとは言え、私には地球連邦軍諜報部所属の良き友人たちに恵まれていた。
彼らの協力を元に、1年戦争後のホワイト・ディンゴ隊のメンバーを中心に、 彼らの部隊に関わった人物たちの足取りを追ってみた。
すると、意外な事実が判明する。
彼らに関してのデータはあるときを境に消失しているのである。
(もしくは通常の兵士には見られないように極秘扱いにされている)
これは故意になされたものなのか、それとも事故によって失われたものであるのか?
結論を出すのは簡単であった。
事故であれば、ホワイト・ディンゴ隊以外のデータもまとめて失われているはずであるが、
失われていたのはホワイト・ディンゴ隊に関わった人物たちのものだけであったのである。
つまりは、何者かが何らかの目的のために彼らのデータを消した、または隠したということになる。
では、誰が、何のために消した、隠したのであろうか?
私はこの謎を解かねばならなかった。

 

 ホワイト・ディンゴ隊に関するデータが抹消されていた。
私は、この件について調べていくうちに、奇妙な事実に気が付いた。
ホワイト・ディンゴ隊に関わるデータは消えているにも関わらず、
戦後の彼らに関するウワサは、殊のほか多くしかももっともらしく囁かれているのである。
以下、隊員別にそのウワサを記すことにする。

マスター・P・レイヤー中尉に関するウワサ

その1:戦後の長期休暇中、不慮の事故により死亡。
その2:1年戦争における高い功績が評価され、ティターンズから誘いが来る。そのまま入隊。その後の生死は不明。
その3:ティターンズの勧誘を拒否した為にレイヤーの能力を危惧したティターンズの手によって暗殺された。
その4:戦後、MSパイロットを引退し、現在は教官としての地位に収まっている。
その5:戦後真っ先に軍を辞め、オーストラリアの自然を再生する民間組織の一員として活躍している。
その6:戦後は地球連邦軍に留まり、グリプス戦争に参戦。同僚の寡黙なエースと共にアッシマーに搭乗していた。

レオン・リーフェイ少尉に関するウワサ

その1:戦後、連邦軍諜報部に復帰。U.C.0093年のシャアの叛乱以後の現在も活躍を続けている。
その2:戦後、連邦軍諜報部に復帰。出世するもティターンズに反抗的なため閑職に追いやられる。

マクシミリアン・バーガー少尉に関するウワサ

その1:戦後、連邦軍軍楽隊に復帰。その後アニタ・ジュリアン軍曹と結婚する。
その2:戦後、連邦軍を脱退、以後作曲家としての人生をおくる。

上記その2に関しては数種類のパターンが存在する。
戦後の部分が、「レイヤー中尉の事故による死亡後」であったり、
「レイヤー中尉がティターンズに入隊後、連邦軍に嫌気が差したため」であったり、
「レイヤー中尉がティターンズに暗殺された後」である。
いずれもレイヤー中尉に何らかの変化が生じ、それを受けて退役したというもので、
また退役後は作曲家、作詞家等のアーティストになったとする部分は共通である。

その3:とくにこれといったこともなくU.C.0093年シャアの叛乱前後に退役。晩年は詩人として名を大成する。

アニタ・ジュリアン軍曹に関するウワサ

その1:戦後、マクシミリアン・バーガー少尉と結婚。出産を期に退役。
その2:戦後、ジャーナリストに転向。U.C.0083年に結成されたティターンズの実態を調査する。
その3:戦後、連邦軍を退役し、なぜかラジオのDJに。

私が耳にしたウワサは以上である。
他の人物に関するはウワサはなぜか聞かなかった。
しかも、上記のウワサはあまりにももっともらしく人々に伝わり、 一部の者は事実として強硬に主張した。
しかし、その情報のウラが取れなかったのでウワサとして上記にまとめたことを加えておく。
これらのウワサは彼ら、ホワイト・ディンゴ隊のことを知る人物が聞けば、 「その可能性は高い」と納得してしまうほどである。
現に、彼らと1年戦争時代に付き合いのあったボブ・ロック氏によると、
「どれもこれも考えられそうなことで、どれが本当なのか、全部ウソなのか、全くわからない。」という。
ちなみにこのボブ・ロック氏は戦時中にホワイト・ディンゴ隊のMSを整備する整備士長だったとのこと。
それだけ付き合いの深かった彼でさえ、これらのウワサは聞いていても事実は知らないという。

 

 調査を進めていくことで判明したのは、どうやら上記のウワサは ホワイト・ディンゴ隊のことをよく知る人物が、
彼らのその後を追跡調査させないために 流したウワサである節が濃厚となった。
つまり、我々が戦後、彼らの名前を目にしなかったのは、 彼らが活躍できなかったからではなく、
彼らの活躍を意図的に隠す者がいたからだと考えられる。
では、なぜそのようなことをする必要があったのだろうか。
私の調査は次の段階に向かった。
しかし、調査はここで一旦行き詰まりを見せてしまう。
戦後の彼らの動向が一切把握できないために、事実を調べようがなかったのだ。
戦後の彼らに接触してきた人物を特定できれば、そこからつながりを調べることもできるのだが・・・。

 

 調査の行き詰まりの突破口となったのは、戦後一人の将軍がアフリカ方面軍に左遷されたとの情報だった。
その内容とは、一人の大佐がアフリカ方面へ脱出したジオン軍への対策を強硬に主張した。
だが、戦後の連邦軍は軍の再編を主眼に置いており、また戦争が終結した当時、
ジオン公国軍も強い抵抗を見せまいと上層部は甘く見たのである。
大佐はそれでもなおかつ強硬な主張を続けたため、
連邦軍上層部は「ならば君がやりたまえ」とばかりに 大佐に対してアフリカ方面への転属命令を突きつけたのである。
だが、そのままではあからさまな左遷であることが周囲に知れてしまうので、
その大佐を少将に昇格し、その熱意に負けて優秀な将軍をアフリカに派遣すると言った形を取ったのである。
(もっとも、詳しい人が見れば明らかな左遷であるが)
これは戦前、戦中、そして戦後も行われてきた連邦軍の黒い一面である。
私自身、この連邦軍内の黒い一面にどれほど怒りを覚えたか、筆に尽くしがたい。
話がそれてしまった。
その将軍の名とは、スタンリー・ホーキンス少将である。
少将は1年戦争時、オーストラリア方面軍の司令官を務めており、 なんとあのホワイト・ディンゴ隊の直接の上官だったのである。
私は今になってスタンリー少将を訪ね、ホワイト・ディンゴのメンバーが今どうしているのか、 尋ねてみることにした。
少将は数年前にシャアの叛乱が収まり、ジオン独立戦争に本当の意味でピリオドが打たれると、
今までの激務を忘れるかのようにゆったりとした生活を送っていた。
私が少将のもとを訪れると、少将は旧い友人を招き入れるかのように丁重に私を迎え入れてくれた。
ホワイト・ディンゴ隊のことについて尋ねると、少将はまるで自分の子供のことであるかのように
1年戦争時代の彼らの活躍を語ってみせた。
その様子は生き生きとしていて、特にアリススプリングス無血開城のシーンを語る際には、
レイヤー中尉のセリフに加え、(彼が想像したものであろう)敵の司令官のセリフを交えて語ってくれた。
少将は1年戦争時のホワイト・ディンゴ隊の活躍を熱弁すると、その後については語らなかった。
私は、少将から全ての話を聞きだすために、その話を少々大げさなリアクションで聞いていたのだが、 それでは意味がない。
なぜなら、1年戦争時の彼らについては、誰しもが知っているのである。
多少演出が加わっているとは言え、戦後にはドキュメンタリーと称して、
彼らの1年戦争時の活躍を再現するというドラマまで放送されたのだ。
それほどまで有名だった彼らが、なぜ突然姿を消してしまったのか。
私はその理由を求めて少将のもとへやってきたのである。
私は、少将にカマをかけるつもりでこう言った。

「少将、私も元地球連邦軍人です。連邦軍のしてきた数々の黒い所業は知っているつもりです。
 現に私もその影響によって大きく人生を翻弄された身なのです。
 しかし、少将。我々の戦争は終わったのです。あのU.C.0093年のシャアの叛乱をもって・・・。
 少将、貴方が彼らのことを大事に思っていることは痛いほど承知しております。
 また、大事にしているからこそ、彼らを守ろうとしていることも。
 少将は彼らを何らかの危害から守るために、敢えて真相を隠しているのではないですか?
 ・・・少将。せめて、私だけにでも真実を告げてくださいませんか?
 私は、彼らを、そして貴方を責めようというのではないのです。
 ただ、知られざる事実を探求したいだけなのです。
 少将、なにとぞ、なにとぞお願い申し上げます。」

カマをかける。当初の目的は確かにそうだった。
だが、この言葉は私の本当の気持ちであった。
私は、気づかないうちに少将の前で頭を下げていた。
少将は重くを口を閉ざしていた。
だが、やがてその重い口を開いて私に告げた。

「どうか、頭を上げて下さい。そうです、私は彼らを連邦軍自身から守るために彼らの記録を隠したのです。
 戦後の彼らのことは、私がよく知っています。なぜなら、つい先日まで彼らと私は以前と同じ、
 上官と部下の関係にあり、互いに信頼してこれまでの任務に当たってきたのですから。」

私は、自分の耳を疑った。
少将が真相を明かそうとしてくれたことに対してではない。
少将と彼らがつい最近まで、1年戦争時と同じように上官と部下の関係にあったということに対してである。
一体、1年戦争以後、彼らの間に何があったのか?
少将は順を追って私に説明してくれた。

 

 1年戦争が終結すると、彼らホワイト・ディンゴ隊は解散となった。
これは軍隊として自然の成り行きだった。
1つの戦いが終われば、彼らはそれぞれが持つ本来の仕事に就く。
ただそれだけのことであった。
解散が正式に通達される前に、ホワイト・ディンゴ隊のメンバーは休暇を取った。
その休暇を利用してメンバーは旅行に出かけたという。
しかし、その旅行先でジオン公国軍の残党によるテロに遭ってしまった。
幸い現地の連邦軍によってテロは鎮圧され、 メンバーは皆無事であったものの、レイヤー中尉はテロに巻き込まれ負傷してしまう。
恐らく、正義感の強い中尉はテロに対して立ち向かったのだろうと少将は言う。
調べてみると、確かにレイヤー中尉はジオンのテロリストに接近していったという証言が得られた。
しかし、目撃者の中には、中尉はテロリストを説得している最中に撃たれたとの情報もあり、
本当のところは当人たちのみにしかわからない。
彼らはこのテロに遭遇したことにより、『ジオン公国』軍にとって戦争は終結していないことを思い知る。
地球連邦との間に終戦協定が結ばれたのは『ジオン共和国』との間であって、『ジオン公国』とではないのである。
しかし、そのときの彼らは何もすることができず、 ただ上層部から通達された『解散』を受け入れることしかできなかった。
レイヤー中尉は負傷の回復後、1年戦争時の高い戦績から大尉に昇格。
各連邦軍基地にて指揮官としての指導を行い、 MS同士の戦いにおける戦術をベテラン、新人に説いて回った。
レオン少尉、マイク少尉、アニタ軍曹もまたそれぞれ昇格し、
レオン少尉はウワサにあったように諜報部へと復帰。
マイク少尉はレイヤー中尉の負傷にショックを受けつつも軍に残り、 その後、自らの才能を活かして作詞、作曲に励む。
ホワイト・ディンゴのメンバーだったということもあり、そこそこに売れたようである。
アニタ軍曹は持ち前の高い情報処理能力が評価され、 連邦軍内の情報部門(諜報部ではなく)に勤務することとなった。
連邦軍の広告やMSの搭載するOSの開発等を担当する部門である。

 

 ここまではウワサとかぶるところもあり、また確かに事実がウワサになっているところもあった。
しかし、これ以後は一切の彼らに関する情報が得られなかった。
その原因の一つに、連邦の隠蔽体質にあった。
グリプス戦争終結によるティターンズ解体、
並びにハマーン戦争終結、及びシャアの叛乱鎮圧によって落ち着きを取り戻した連邦は、
これまで隠されてきた情報を公開するまでに至った。
これは連邦軍内にいる善良な軍人の地道な努力が積み重なって実現できたことである。
この情報公開によって、多くの人々が驚きを隠せなかったのは、
ティターンズ結成の直接の原因になったとされるU.C.0083年のデラーズ紛争であった。
当時、この紛争は極限られた地域で行われ、何が起こっているのか、 正確にはわからない状況にあった。
中には、紛争が起こっていることすら知らない人さえもいたのである。
全ては「戦後のジオンは最早脅威ではない!」と宣伝してきた連邦の主張を貫き通すために、
全ての事実を丸ごと隠すことで行われたことである。
この紛争後、連邦軍内でジオン残党鎮圧のための特別な組織を結成することが提案され、 軍内で圧倒的な支持を得た。
それがティターンズなのである。
これに対し、ティターンズの結成に対して疑問を持つ者も存在した。
後のエゥーゴ代表者、ブレックス・フォーラ准将、クワトロ・バジーナ大尉などがその代表例である。
しかし、ティターンズの結成に疑問を抱いたのはエゥーゴだけではなく、 一般の連邦軍人にも数多く存在した。
だが、それを表立って主張するものは少なかった。
なぜなら、ティターンズに真っ向から反対したものは、 皆、閑職に追いやられるか、もしくは最悪の場合抹殺されていたからだ。
しかし、この事態を黙って見過ごすスタンリー少将ではなかった。
密かに派遣先のアフリカにて、ティターンズに対抗する組織を結成。
Specialists for Titans' Attacks to Resist 通称STAR(スター)と呼ばれ、 ティターンズに対抗するための人材を募っていた。
(敢えて訳すならば、『ティターンズへの反攻のための専門家集団』との訳になる)
その名が示す通り、スタンリー少将は将来、ティターンズが連邦に反旗を翻し、 攻撃をしかけてくると睨んでいたのである。
しかし、ティターンズへの対抗組織を大々的に広告するわけにもいかず、
(当時はティターンズが一般受けし、それに対抗することは悪であるかのように考えられていたため)
また、STARに所属したからといって、ティターンズのように優遇されるわけではなかったので
ティターンズに反感を抱く者は多かったものの、参加する者は少なかった。
(ティターンズは通常の階級よりも優遇される扱いを受ける)
そこで、スタンリー少将は秘密裏にホワイト・ディンゴ隊の元メンバーと連絡を取り、 STARに参加してくれるよう呼びかけたのである。
この呼びかけに対し、メンバーは皆理解を示し、ホワイト・ディンゴはSTARとして再結成されたのである。
やはり、休暇中のジオン残党によるテロが頭に強く残っており、
戦争はまだ終わってないとの認識があったことも彼らの参加につながったのだろうと少将は言う。。
そもそもSTARは表向きジオンの残党狩り組織の一部として発表された。
デラーズ紛争の際、スタンリー少将の主張の通りジオン公国残党軍がアフリカにて決起。
なんとか鎮圧したものの、今の状態では今後の事態に対処できない。
だからそれに対処するためにSTARを結成するとの趣旨であった。
このとき、STARの真の意味は伏せられ、
ただ単にアフリカ方面の星、連邦軍人のベテラン集団という意味合いであると発表された。
念には念を入れ、STARはSpecialists for Terrorists' Attacks to Resist であるとした。
つまりは『テロリストへの対抗専門家集団』であると、スタンリー少将は言ったのである。
もっとも、スタンリー少将はティターンズもテロリストとほぼ同様に捉えていたので、
このネーミングはティターンズに対する皮肉も込められていたのであろう。
また、STARの主要メンバーである元ホワイト・ディンゴの面々の名は伏せられ、
万が一連邦軍内にて追求があったとしても、彼らにその手が及ばないようにした。
その際、スタンリー少将はレオン中尉からのアドバイスを元にして、 ホワイト・ディンゴ隊を知る各方面に例のウワサを流した。
これがウワサに関する真相である。

 

 その後、皆さんがご存知のようにU.C.0087年にはグリプス戦争が、
そしてU.C.0088年にはハマーン戦争、U.C.0093年にはシャアの叛乱が起こった。
我々はU.C.0083年のデラーズ紛争も含め、一連の戦争を『ジオン独立戦争』と呼んでいる。
いずれも『ジオン』の名を持ち出した戦争だったからである。
グリプス戦争中においてSTARは当初からティターンズに対抗する態勢を整えており、
後のカラバによる『キリマンジャロ攻略作戦』の際に大いに貢献した。
また、各地の連邦軍の多くがティターンズに編入されている中、
当初から数少ないエゥーゴへの協力を申し出た連邦軍部隊でもあり、
カラバと協力しながら、各地でティターンズへの抵抗を続けたのである。
ハマーン戦争の際には、連邦軍上層部はエゥーゴを編入したことにあぐらをかき、 連邦軍の部隊をほとんど動かさなかった。
そんな中、エゥーゴ、カラバと共に協力していた数少ない連邦軍部隊がSTARである。
そして、フィフス・ルナが地球に落着後、このままで終わらないと踏んだスタンリー少将は STARのメンバーを宇宙へと派遣。
結果、ロンド・ベル隊に遅れを取ったものの、最終的にはロンド・ベル隊と協力して アクシズを押し返すという偉業を成し遂げた。
この作戦に参加した者のほとんどがRGM-86R ジムIIIに搭乗しており、
爆装した機体であるにも関わらず、勇敢にもアクシズに向かって行ったという。
シャアの叛乱鎮圧後、STARは戦いにおいてはその役割を終えた。
しかし、STARに所属していた者たちは、アフリカ、オーストラリア、北アメリカ、ダブリン、チベットなど、
これら一連の『ジオン独立戦争』によって多大な被害を受けた地域に出向き、復興に従事しているという。

 

 これが、スタンリー・ホーキンス少将が語ったホワイト・ディンゴ隊のその後である。
スタンリー少将はこのことを私に告げたあと、全ての情報を開示すると約束してくれた。
最早、以前の連邦ではない。
もし、何か責任を追及されたとしても少将自身のみの責任であり、 彼らに危害が及ぶことないだろうと少将は言う。
しかし、私は少将に言った。

「そんなときは、我々ジャーナリストが少将のお力になりましょう。
 この一連の戦いにおいて、人知れず見返りも要求せず、
 地球と宇宙の平和にために従事していた少将を、誰が責めることができましょうか?
 いや、たとえ地球連邦政府の大統領であろうと不可能です。」

少将と私は固く握手して別れた。
少将の口からその事実が公表されて数ヶ月後。
スタンリー少将は連邦軍、並びに世間一般からも大々的に称えられ、中将に昇格したことを私は知った。

その後、私は各地で復興に従事しているSTARのメンバーを取材するため、 オーストラリア行きの飛行機に飛び乗った。
そこには広範な砂漠と化した大陸に、一本一本丁寧に木を植える男がいた。
男の顔は、戦後、階級の星とラインが増した軍人という顔ではなく、今を精一杯生きる一人の人間の顔であった。
その人こそ、私が捜し求めたマスター・P・レイヤーその人だったのである・・・。

 

U.C.0096年2月25日

一ジャーナリストとして、スウォード・ミヅキ

 

※スウォード・ミヅキ、U.C.0058年生まれ、地球出身。元地球連邦軍諜報部所属。
MSパイロットも兼任しており、グリプス戦争以後の彼の役割はもっぱらパイロットとしての役割が多かったらしい。
諜報員としては優秀ながらも持ち前の好奇心の強さが仇となり、
連邦軍内で隠された真相について言及してしまい、出世コースから外れる。
その後、U.C.0093年のシャアの叛乱までMSパイロットを務めるが、
翌年に退役し、知り合いのジャーナリストのツテでジャーナリストになる。
彼の代表的な著作に『EXAMとは?』、『EXAMシステムに関する考察』がある。
いずれも近年の連邦軍内の情報公開によって、初めて日の目を見た論文である。
現在、ジャーナリストの仕事をこなす傍ら、2児の父親としての役割に奮闘中とのこと。

 

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