ユウ・カジマの年齢と階級の変遷を推定する



参考として、米内光政海軍大将の年齢、階級の変遷を挙げる。 (表中の年数は任官時の年数)

米内光政
年齢 年数 階級 備考
21 1901 少尉候補生 在任2年
23 1903 少尉 在任1年
24 1904 中尉 在任2年
26 1906 大尉 在任6年
32 1912 少佐 在任4年
36 1916 中佐 在任4年
40 1920 大佐 在任5年
45 1925 少将 在任5年
50 1930 中将 在任7年
57 1937 大将  

原作「機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY」では、ユウ・カジマは
ゲーム中の表現として少尉から開始し、最終的には1年戦争終結までに少佐まで昇進するが、
現実的な検証を行うために、参考資料として小説「機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY」を取り扱う。

まず、ユウ・カジマ少尉はブルーディスティニー1号機の専属パイロットとして抜擢されると同時に中尉に昇進を果たす。
これにより、0079年時の中尉が確定する。
また、0093年の「シャアの叛乱」時には大佐であったとされているので、
同じく、0093年時の大佐が確定することにより、下記の表のように中尉と大佐の項目が埋まることになる。
(ただし、大佐に着任したのが0093年かどうかは不明。)

ユウ・カジマ
年齢 年数 階級 備考
    士官候補生  
    少尉  
  0079 中尉 EXAMシステム実験1号機パイロット
    大尉  
    少佐  
    中佐  
  0093 大佐 88艦隊MS部隊隊長

次に、少尉としての在任期間が最低1年間はあったと考えると、 0078年時に少尉に任官したと推測される。
旧帝国海軍では士官学校卒業後、2年間は少尉候補生として在任したという点を参考にすると、
0076年時には士官学校を卒業し、士官候補生となっていたと考えられる。
このときの階級は准尉か、あるいは既に少尉扱いであったと考えられる。

ユウ・カジマ
年齢 年数 階級 備考
  0076 士官候補生(准尉待遇?) 卒業=少尉任官の可能性もある。
  0078 少尉  
  0079 中尉 EXAMシステム実験1号機パイロット
    大尉  
    少佐  
    中佐  
  0093 大佐 88艦隊MS部隊隊長

さて、士官学校在籍期間より、年齢が推測される。
18歳時に高等学校を卒業し、そのまま士官学校に入学したとして、
2年間の育成期間を経て、卒業後の任官時には21歳になっていたと考えられる。
この21歳という年齢を基準とし、先ほどの階級と合わせて計算していくと、
少尉任官は23歳、中尉任官(1年戦争時)は24歳という結論が導き出される。
これは、ユウ・カジマの設定段階の年齢である20代半ばという年齢と合致する。

初期段階の設定(便宜上、徳島メモと呼称する)では17歳とされていたが、
その後、土器手司氏によるリファインが行われた際に20代半ば〜後半とされたと設定資料集にはある。
また1999年頃、皆川ゆか本人のWebサイトで公開されていた小説用プロット(皆川ゆかプロット)でも確認されたが、
こちらはサイトリニューアル時に公開を取りやめて久しい。

ユウ・カジマ
年齢 年数 階級 備考
21 0076 士官候補生(准尉待遇?) 卒業=少尉任官の可能性もある。
23 0078 少尉  
24 0079 中尉 EXAMシステム実験1号機パイロット
    大尉  
    少佐  
    中佐  
  0093 大佐 88艦隊MS部隊隊長

0079年時のユウ・カジマの年齢を24歳とすると、14年後の大佐時は38歳となる。
大尉〜大佐までの期間を、米内光政の在任期間を参考に、 比較的順調に昇進したと仮定して埋めていく。
すると、下記のような表が完成する。

ユウ・カジマ
年齢 年数 階級 備考
21 0076 士官候補生(准尉待遇?) 卒業=少尉任官の可能性もある。
23 0078 少尉  
24 0079 中尉 EXAMシステム実験1号機パイロット
26 0081 大尉  
31 0086 少佐  
35 0090 中佐  
38 0093 大佐 88艦隊MS部隊隊長

ルウム戦役で戦死したロドニー・カニンガン准将の38歳という若さでの准将着任がきわめて早いと評価されていたとのことなので、
ユウ・カジマもまたきわめて順調な昇進を遂げていたことが推測される。
参考までに、宇宙世紀ガンダム作品中でもっとも驚異的な速さで昇進したブライト・ノアの表を掲げる。

ブライト・ノア
年齢 年数 階級 備考
19 0079 士官候補生  
19 0079 少尉 ホワイトベース艦長
19 0079 中尉  
19 0079 大尉  
不明 不明 少佐  
27 0087 中佐 アーガマ艦長
27 0087 大佐  
45 0105 准将 南太平洋方面軍(キルケー部隊)司令

士官候補生として着任して6ヶ月で少尉として戦時任官し、
その後はホワイトベース艦長として正式に中尉、大尉へと任官しているが、
この速さは極めて異例な例外的措置だったと考えるべきであろう。
また、ブライトはグリプス戦争中に27歳という恐らく最速での大佐昇進を果たしているが、
それ以降はいわゆる将官の中でも早い方とされる年齢まで、昇進をストップさせられている。
特段問題ないにも関わらず、同じ階級に18年というのはきわめて異例と考えられる。
この理由・背景に関しては、今回の主題ではないので、他の研究者たちの諸説を参考にされたい。

 

参考資料
「機動戦士ガンダム外伝 設定資料集」 ソフトバンククリエイティブ 1997年
「機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY」 マガジンノベルス 皆川ゆか 講談社 1997年
「機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY」 講談社文庫 皆川ゆか 講談社 2002年
「歴代海軍大将全覧」 中公新書ラクレ 半藤一利、横山恵一、秦郁彦、戸高一成 中央公論新社 2005年

「徳島メモ」
「皆川ゆかプロット」
(上記2点はどちらも現状では閲覧不可能なため、飽くまで副次的な資料として扱った。)

 

 

 

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